《MUMEI》
第一章:その名はナイト・T・キャロル
 世の中には戦う学園なんてものが存在している。
 その学園の名前が「Z学園」。
 全寮制の小中高、さらに大学まで揃っているわけだが、
 この学園に入学出来るのも宇宙でほんの一握りの生徒だけである。
 理由は一つ。この学園は戦いが常に隣り合わせとなるからだ。
 だからこそ、この学園の学園長の目に叶ったものだけが入学出来るのである。
 しかし、毎年この学園を志望するものは多い。
 それだけの価値がこの学園にはあるからだ。
 そして物語は「ナイト・T・キャロル」という九歳の少年の視点から始まるのである。


「ゼルダ!」

 ナイトは七ツ年上の少年の元へ走った。
 身長百三十センチの視界は、四十センチ以上高い高校生の剣術馬鹿がひどくかっこよく見えている。
 学園寮の外で夜に素振りをするのは、
 ゼルダ・プレスラの日課であり、
 それに付き合おうとかけていくのもナイト・T・キャロルの日課だ。

「おう! ようやく来たか」

 いかにも「体育会系剣術馬鹿」といっても過言ではない少年は笑みを浮かべた。
 そのしなやかな身体からは予測もつかないほどの怪力も誇り、
 Z学園でも一目置かれている使い手だ。

「おう! 今日の俺はゼルダより強いんだ! 新しい戦闘術も教えてもらったし」

 無邪気に言うが、事実、ナイトの実力はゼルダも認めている。
 中等部に入る頃には、さらに覚醒することになるだろう。
 ナイトの奥底に眠る危険過ぎる力が・・・・

「いっくぞ!」

 ナイトは気を溜め始める。
 それを見ただけでゼルダはナイトが何をしようとしているのかが分かった。
 魔力で体術の活性化をはかるつもりだ。だが、ゼルダはその出来栄えの悪さを警告する。

「教えてもらったって・・・・お前な、魔力コントロール出来てないじゃないか」

 不安定過ぎる魔力にゼルダは助言する。
 ゼルダ自体も魔法の類は苦手ではあるが、不安定になることはない。

「うるせーやい! いくぞ!」

 急激に上がった魔力にゼルダは叫ぶ。

「やめとけナイト!」

 しかし、その声は間に合わなかった。
 寮の外に爆音が響く!

「何だ! 襲撃か!?」
「何があったの!?」

 Z学園の生徒から教師までが一斉に慌てて窓を開ける。
 ゼルダは確かな殺気を感じながら、後から喰らうであろう説教に気を重たくした。

「ナイト、無事か?」

 とりあえず弟分の元にゼルダは歩み寄ると、

「ハハッ、またやっちまった」

 何とも無邪気な笑みをナイトは浮かべた。しかし、すでに鬼はそこにいた。

「ナイト、ゼルダ」

 二人は後ろを向くとやはり立っていた。
 Z学園軍師、通称「裏番長」こと高三のゼウスが・・・・

「後から食堂に来るように」

 生徒の長はそれだけ言い残してその場から去っていった。

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