《MUMEI》

麗子さんの言葉に、琴子も同意したので、孝太と和馬は俊彦を引きずるようにして、露天風呂へと向かった。


「…さて」


麗子さんはニヤリと笑った。


?


私と琴子が首を傾げていると、麗子さんは私達を手招きして、台所に誘導した。

「行きましょ」


麗子さんは、サンダルを履いて、外に通じるドアを開けた。


「ど、どこへ?」


私と琴子は、麗子さんと同じように、そこに置いてあったサンダルを履いた。


別荘に来るゲスト用に置いてある物で、男女共用の為、私達にはかなり大きく、歩きづらかった。


私と琴子は、麗子さんの後に続いた。


すると…


「うわ、豪華じゃん!」


(え?)


はしゃぐ声と、バシャーン!という大きな水音が聴こえた。

「れ…」


麗子さんは『シッ』と言って、その場に座った。


私達三人の横には、木製の薄い壁のような物があった。


(これ…)


私はついさっき、同じ物を見たばかりだった。


壁の向こうから、チャプンという静かな水音が聞こえた。


「女みたいな入り方だな」

茶化すような声の後に、ザブンという、一般的な、湯船に入る音が聞こえた。


私は真っ赤になった。

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