《MUMEI》
第三章:情報
 Z学園の生徒には一人一室が与えられている。
 しかも学習部屋と寝室に分けられているという何とも贅沢な部屋だ。
 それに家電製品まで揃っている至れり尽くせりぶり。
 ナイトの部屋にも当然それは備わっている。


「ぽちっとな」

 パソコンの電源を付けてメールを開く。
 これぐらいはどれだけ赤点をとってるナイトでもすぐに覚えた。
 理由は一つ。様々な情報が流れて来ているからだ。

「う〜ん、今回はどこに行ってみようかなぁ?」
「今回は私が決めるよ、ナイト」

 ピンクのフワッとしたイメージの容姿を持つ、
 青い目の少女がノックもないままナイトの部屋に入って来た。
 シスター・スター、ナイトと同い年でチームメートである。

「シスター!」
「はい、お土産! 大津君が作ってくれたダイエットクッキー」
「食う!」

 ダイエットなど必要のないが、間食には気を使う乙女心がここに存在する。

「いただきます! それで、今回はどこに行く?」
「うん、ちょっとおもしろい任務があってね」

 シスターは一枚の紙を取り出した。

「第一クリスタル国付近の大きな森があるでしょ?
 そこに懸賞金五百万の盗賊頭がアジトを作ったらしいの。
 もちろん、クリスタル国の軍隊も動いたんだけど、
 魔法を使う奴がいるみたいで倒せないんだって。
 だから私達で倒しに行かない? きっと強い奴がいるよ!」

 強い奴という言葉にナイトが任務を断る理由はない。
 満面の笑みを浮かべて答えた。

「ああ、行こう! そいつを倒しに!」

 そうと決まれば一目散。
 二人は情報課に走る。

「パ〜ル〜!」

 Z学園情報局。そこでバイトする高一のコンピューターマニアが一名。
 パール・ミスマ。栗色の髪をアップにまとめて今日も情報処理に追われていた。

「ナイト、シスター。どうしたの?」
「この任務に明日行くんだ!
 まだ取られてないだろう?」

 渡された紙にパールは一秒で任務コードを打ち込み返答する。

「ええ、埋まってはないけど二人には危険じゃない?
 一応、周囲のリスクファクターは低いみたいだけど」

 可愛い弟分達には危険な目にはなるべく遭ってほしくはない。

「大丈夫だって! ここからも近いんだし」

 確かに、近ければ援軍到着も早い。
 パールはやれやれと言いながらも、許可申請を出す。

「危なくなったらすぐにテレポートして学園に帰ること。
 不可能な場合は援軍要請をすぐに出すこと。いいわね?」
「おう!」

 そして朝はやってくる・・・・

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