《MUMEI》 隣を見ると、琴子も赤い顔をしていた。 (そりゃ、そうよね…) この薄い壁の向こうには、露天風呂に入っている裸の男性陣がいるのだ。 「どういうつもりですか?」 私は小声で麗子さんに質問した。 「だって、普段あの三人が何話してるか、気になったから」 麗子さんは悪戯っぽく笑いながら、小声で答えた。 「だからって…」 「そう言えば、お前だけ明日帰るんだっけ?」 抗議しようとすると、和馬の声が聞こえたので、琴子から無言で睨まれた。 「そうなんだよ〜、本当は実家まで一緒に行きたいけど、まだ約束の日じゃないから来るなって言われてるんだよ。 その分、今夜はいっぱいするけどね」 (な、何言ってるの?) 俊彦の言葉に私は真っ赤になった。 「いっぱいって、何回?」 「ん〜、今まで最高五回だから、それ位は…」 「多いな」 和馬の露骨な質問に、真面目に答える俊彦。 そして、感心したような感想を述べる孝太。 私は…麗子さんにニヤニヤと笑われ、琴子に驚かれた。 「俊彦が絶倫なのはわかるけど、蝶子ちゃんも、意外とついていけるんだな。 昼間はそんな感じしないのに」 前へ |次へ |
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