《MUMEI》

「あんま出すぎんな、そこ突かれたら厳しい。」


「悪い悪い、ちょっと調子乗りすぎた。」


桜井と二ノ宮。


3年生がいた頃からスタメンの彼らは、現在の一軍メンバーの中でも飛び抜けて上手く、チーム内での地位も高かった。


とはいえまだまだ高校2年生。
精神的に子供っぽさが抜けていない部分もあり、桜井は少し天狗だった。


「頼んだぞ。」


「おぅ。」


センターラインを踏んだポストから桜井へボールが渡る。


「和也がうるせ〜からリスタート出来なかったじゃん。責任取れよ。」


センターの桜井から、エース45の二ノ宮へボールがいく。


(お前のせいで点取られたのがそもそもの原因だろうが。)


「ふん。」


左サイドへパス。


「サイドオッケー!!」


ワンフェイクから二ノ宮へ。


「45オッケー!!」


パスが通る前から走り出していた二ノ宮。


そしてパスを受けとるとそのまま…


「ステップシュート?」


思わずクロも言ってしまった。


ステップシュートは最も基本的なシュートだが、ディフェンスが中に固まっている場面で打つようなシュートではない。


ジャンプもせず、フェイクも入れず、9メーターラインからシュートを打った。


「ナイッシュー!!」


(何だあのシュート!?あんなんが入んのかよ!?無茶苦茶だ!!)


ディフェンスの間を抜け、村木が動く間もなく、シュートが決まった。


14対10。


「45はオッケーじゃなかったね。」


(…ムカつくガキだ)

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