《MUMEI》

姉さんなら逃げ切れる気がして公園に置いて行った。

根拠も無いのに。

袋の塊がトランクに積まれて行くのを見たのに、見ていないふりをして忘れた。

警察や親に聞かれても事の重大さに怯えて、また失望させたくなくて知らないふりをした。

両親の離れていく期待や
二郎に嫌われてしまうのではないかという脅しにも似た不安。

あの、運ばれてた袋が中で光った気がしたのは姉貴が俺を見ていたからだ。

姉貴に気付かれていた。
知らないふりをしていたことを。

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