《MUMEI》

姉貴が戻って来た時、裏切り者と罵られるかと思った。

そんなこと、姉貴はしなかった。


二ヶ月近く犯人と暮らしていて精神的に滅入っていたからだ。
父さんに抱き抱えられることも拒み、急に叫んだり、物を壊したり、とにかく目茶苦茶だった。

姉貴は大人しくしているような人間ではない。
犯人を逆上させたのか保護された時点では痣まみれで、長かった髪も不揃いに切り込まれていた。


犯した罪は重かった。

俺は極力、姉貴を忘れようと心掛けた。

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