貴方の中の小悪魔
を知る神秘の占い《MUMEI》夜を舞う、小さな怪盗。
午前0時。
小学生は寝ていなければならない時間。
だけれども、ある町に住む、一軒家の二階の子供部屋にはまだ、電気がついていた。
そこには、二人の子供の姿があった。
その二人とは、この話の主人公とも言える谷本真央(男)と、その双子の妹・未央(女)がだった。
まだ、小学四年生のがきんちょである。
その双子は、ひそひそ声で何かを話していた。
「今日のターゲットは?」
「【虹のリング】だよ。売れば、約二億になるヤツなんだ。沙耶香ちゃんのためにも、絶対取り戻して来てよね?」
「わかってるって。まだ一回も捕まったことないんだし、楽勝だっての。警察なんか、はっきり言って、ちょろい」
「そんなこと言って! 私のおかげなのに〜」
小学四年生とは思えない会話をしている。
警察だの、ターゲットだの、こんな会話はまるで何かを盗むような言い方………。
真央は立ち上がると、机の上に置いてあった、ピアスをすると、窓に手をかける。よく見ると、黒の衣装に身をつつみ、黒いマントを羽織っているが、それが【翼】のようにも思えてくる。
「じゃあ、行ってくる。フォロー頼むぜ」
「OK。任せて」
真央は、二階の窓から飛び降り、隣の屋根に飛び移ると、そのまた屋根に飛び移り、どんどん前に進んでいった。
夜の闇へと消えていった。
「捕まえろ! 進入者だ!!」
ピロンピロン。
警報装置の音があちこちで鳴る。そのたびに、警察官がどんどんと増えていく。
「う〜。やっぱ、たまんないね。このスリル感!」
『お兄ちゃん!! 遊んでないで、さっさと帰ってきなよ!! 【虹のリング】は盗んだんでしょ?』
真央が、美術館の中を警察官とおにごっこして逃げている時に、ピアスから、未央の声が聞こえた。通信機なのだろう。
「勿論。でも、おにごっこなんて、ここでしかできねーもんな。やっとかなきゃ、損だぜ。警察官の皆様も、楽しんでるし」
『楽しんでいるのは、お兄ちゃんでしょ』
「まあ、いいじゃねーか。ちょっとぐらい」
と話している間に、真央は美術館の屋上に着く。
夜空に、真ん丸い満月が目立っている。雲は一つもない。
続いて、警察官も屋上にたどり着き、真央を中心にして取り囲む。
「もう、逃げられないぞ。何者だ! こそ泥め!」
「ったく。警察も、古いな。いつの時代だっての。俺は、怪盗っていうんだよ。こそ泥はその辺のチンピラに言って欲しいところだな」
「な……何だと!?」
「それと」
真央はジャンプして、三十mはある柵の上に立つ。
警察官は、唖然とその出来事を見ていた。怪盗が盗みに入るなんて、久しぶりのことだからだ。
「俺は、【怪盗・ウイング】だ。これから、世の中を騒がしてやる。覚えといて、損はねーぜ。まあ、せいぜい頑張れよ。警察さん♪」
そう言うと、真央は下に飛び降りた。
警察官全員が柵に手をかけて、下から見たが、人は一人もいなかった。
「馬鹿。お兄ちゃんの馬鹿!」
「な……何なんだ。ちゃんと、【虹のリング】は盗って来ただろ!?」
いつの間にか、真央は家に帰って来ていた。
そして、なぜか未央に、ボカボカと叩かれているのだ。
「何が、【怪盗・ウイング】なの! いつも名乗らずに、静かに捕ってたのに! 名乗っちゃったら、指名手配されちゃうでしょ!」
「もう、されてるって。顔は、隠さずにやってんだから、仕方ねーだろ。それに、アイツのためにも、早くやらなきゃいけねーんだから………。だったら、堂々としてよーぜ」
「……知らないよ………」
「でも、協力してくれるんだろ? ……じゃ、いつものヤツやろうぜ」
真央は、拳を握り、未央の前に出す。
未央も諦めたらしく、ため息をつくと、拳を出して、真央の小突く。
「では」
「ミッション終了」
二人は、笑って言った。
しばらくすると、その一軒家の明かりが点いていた部屋は、やがて消えた。
午前一時のことだった。
この物語は、双子の真央と未央が、二人で怪盗を務め、ある目的のために、世の中を騒がしていく。
はてさて、今回の物語はどうなることやら。
話は、三年後へと駒を進めることにしよう。
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