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《MUMEI》 裁判東京 丸の内 広告代理店勤務 年収800万 28歳 スーパーキャリアウーマンでもないし、かといって、主婦志望でもない。 海外生活かぼちぼちあるけど、帰国子女でもない。 東大卒ではないけれど、バカにもなりきれない。 中途半端で、ずっと自分の居場所を探している私が、新規メディア開発室に異動をさせられてたことからはじまる日記。 朝9時、社内裁判の時間。 「第一、こんな場があることが僕には信じられないんですよ。」 「話すな。って言われたから話さなかっただけですよ」 「僕はいつもちゃんと向き合っていましたよ」 そう。 彼はいつも自慢話と責任転嫁ばかり。 いかに自分がすごいか以外の話はないの? そう思いながら、私を裁く裁判を黙って聞く。 一人以外は全員敵である。こんな状態で、どうやったら自分が無罪になるんだろう。 こんなことなら、あの時結婚しておくんだったな。 なんて、くだらない後悔が頭を掠める。 「で、三橋はどうなの?」 部長のやさしい熊のような目が私に向けられる。 私はその目の中で、チェスの駒が動かされる音を聞いたよ。 私は、机の引き出しに入れた辞表が入った封筒を思い出しながら、重たそうに口を開いた。 (なにをいっても、結果は決まってるんでしょ?) と、叫びたい気持ちを抑え、 「そうですね。私が公私混同をしていました。」 思ってもいない言葉を口にする。 |
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