《MUMEI》
くたくたに甘く溶けた裕斗の手を取り立ち上がると俺は襖を開け、裕斗を布団に座らせた。
枕元の行灯(あんどん)はさすがに油用ではなく電球が入っているやつで…、細い組み紐を下に引くと薄い和紙がはちみつ色に照らされだした。
俺は開いた襖をゆっくりと閉じると、シャツをバサッと脱ぎ捨てた。
▽
裕斗の首筋に吸い付きながらそっと躰を布団に沈めていく。
俺の背中に絡みつく指先の感触があまりにも当たり前で、いつものモノで…――、
まるで夫婦の営みがいつも様に自然に始まるだけな、そんな感じがした。
▽
「良いのかな…、こんなとこで…」
「――インだよ、ここはそういった場所だ」
――ちょっと金持った大人しか知らない…禁断の空間。
シャツを脱がせ、俺もデニムとボクサーを脱ぐ。
いつもは真っ白な裕斗の肌がはちみつ色に浮き上がり、昨晩につけた朱の跡が余計に強調され、すっかり見慣れた躰の筈なのに俺は夢中で裕斗に被りついた。
俺の激しい愛撫に甘い声を漏らしながら、
裕斗のはちみつ色の躰がよじれる度、布団から和服の女性から漂ってくる様な…
香の匂いを感じた。
「――ゆうちゃん…、キレイだ」
「―――秀幸…、おばさんと俺…どっちがキレイ?」
――まだ妬いてたんかい…
もうそれって堪んねーって…可愛いすぎだってよ…。
「――アホか、ゆうちゃんが一番に決まってんだろ…」
「うん…、
秀幸…」
「ん、―――」
「―――愛してる」
「―――ああ、俺もだ…」
緑のかかった不思議な色の瞳、生え際まで自然な茶色な―――
柔らかな髪…。
薄い、日本人では見ることのできない…、
薄いピンク色の唇に俺は、
愛しさを強く噛み締めながら深くキスを落とした。
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