《MUMEI》

くたくたに甘く溶けた裕斗の手を取り立ち上がると俺は襖を開け、裕斗を布団に座らせた。




枕元の行灯(あんどん)はさすがに油用ではなく電球が入っているやつで…、細い組み紐を下に引くと薄い和紙がはちみつ色に照らされだした。




俺は開いた襖をゆっくりと閉じると、シャツをバサッと脱ぎ捨てた。






裕斗の首筋に吸い付きながらそっと躰を布団に沈めていく。



俺の背中に絡みつく指先の感触があまりにも当たり前で、いつものモノで…――、
まるで夫婦の営みがいつも様に自然に始まるだけな、そんな感じがした。






「良いのかな…、こんなとこで…」



「――インだよ、ここはそういった場所だ」





――ちょっと金持った大人しか知らない…禁断の空間。





シャツを脱がせ、俺もデニムとボクサーを脱ぐ。




いつもは真っ白な裕斗の肌がはちみつ色に浮き上がり、昨晩につけた朱の跡が余計に強調され、すっかり見慣れた躰の筈なのに俺は夢中で裕斗に被りついた。




俺の激しい愛撫に甘い声を漏らしながら、
裕斗のはちみつ色の躰がよじれる度、布団から和服の女性から漂ってくる様な…



香の匂いを感じた。

「――ゆうちゃん…、キレイだ」



「―――秀幸…、おばさんと俺…どっちがキレイ?」




――まだ妬いてたんかい…




もうそれって堪んねーって…可愛いすぎだってよ…。




「――アホか、ゆうちゃんが一番に決まってんだろ…」




「うん…、


秀幸…」



「ん、―――」



「―――愛してる」

「―――ああ、俺もだ…」




緑のかかった不思議な色の瞳、生え際まで自然な茶色な―――



柔らかな髪…。



薄い、日本人では見ることのできない…、



薄いピンク色の唇に俺は、




愛しさを強く噛み締めながら深くキスを落とした。

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