《MUMEI》 「俺と…みづきは、昔戦っていた仲間なんだ。なのに、今になってまたここに集まるなんて…」 純も動揺が隠せない。 目を下ろせば手が震えていた。 「大丈夫か?」 「おいおい…大事なのはそこじゃないだろう」 ずっと瞳の横で見ていた智嬉が問いかける。 「え?」 「大事なのは…前世の事だ。お前、国王という感覚はあるのか?」 「ないよ、全然」 ため息をついて、 「だから狙われるんだ!少しは自覚を持て!」 「…俺はそんなのどうでもいい。大事なのは、カルテーニの企みを潰して平和にする事」 俺は、事務所を飛び出して屋上へ走った。 「滝!」 「大丈夫…俺が後処理をする。みんなはもう解散していいぜ」 屋上から見える景色はそれなりにいい。風通しもいいし、なにしろ一人の空間が出来る。佇んでいると、後ろから智嬉が走って来た。 「…なんだよ」 「みんな心配してたぞ!なんであんな態度をとるんだ?」 昔の記憶が蘇りそうになる。 「やめろ…昔の苦い記憶が…」 (それで逃げたんだ) 智嬉はあくまで落ち着いた声色で話す。 「ふーん…自覚というより、フラッシュバックするのか」 「ハァ…ハァ…」 俺は手すりに捕まる。頭痛がするのだ。 「大 前へ |次へ |
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