《MUMEI》
砂の館上
マントルはセイントの突入に驚いた。
それは間宮林蔵に見つけられた間宮海峡のごとくだった。

セイント「僕はこのまま死ぬのだろう。みんな、サヨナラ」

マントル「だめだ。おまえはまだ死んではならぬ」

セイント「それはどういうこと?」

マントルはもうそれ以上口を開かなかった。
ついにセイントは核に触れ、マグマオーシャンが吹き出した。

セイント「おお」

マグマがセイントの体に触れるか触れないかのその刹那、海藻が彼を地表へと押し上げた。
その速さはマグマオーシャンをもはるかに凌駕した。

天童よしみだ。

核「セイントは生き長らえたり。それこそ仰向け」焼けた大蛇、お堂に渡し、すすけた黒板、こさえたマフラー。

天童よしみは海藻にのせて、セイントを病院へ送った。
すぐに緊急手術がはじまりすぐに終わった。

医師「手は、つくしました」

医師は看護婦をひきつれ、セイントやその家族、天童よしみや魔法戦士(マジカルファイター)、山田の前から身をひいた。

皆がむせび泣いた。

だがいたしかたない。
全ては山田が決めたこととだ。

セイントは断末魔の苦しみの中、息も絶え絶えにこう告げた。

セイント「姉さんを止めんといかばい」

山田は美しい涙をこぼした。これを“海”と呼んでも過言ではないだろう。

山田「セイントよ…世界はもう…」

セイント「じゃかしか!!姉さんを救うばい」

山田「…!!」

窓の外にはすでにマグマが流れていた。天童よしみ「長女はこれをのぞんでいた」

セイント「あなたが、そんなことを言ってはいけない」

天童よしみ「長女は世界を憎んでいた」

天童よしみの唇はわずかに震えていたが、その表情は冷たかった。

山田は魔法戦士(マジカルファイター)に目配せを送っていたが魔法戦士(マジカルファイター)は気付かずに病室のほこりを拭き取っていた。

不穏な空気の中、口を開いたのは、今までいくたの困難に耐え、耐え難い仕打ちにも耐えた、げんしゅくな、しかし心やさしい父だった。

父「私が唯一の存在、牛に会ったのは私が四十五の年の九月の午後でした」

すると父は仔牛達にとりかこまれた。

仔牛「ノノノノウ」

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