《MUMEI》 …月の綺麗な星の宵。 風花は 眠っておる。 桜花は 櫻の木に 凭れ掛かっている。 「辛いのか?桜花。」冬風が 傍へ近付く。 「ふ、冬風?」 桜花を 抱き上げ 櫻の根元に 座る。 「三日後、風花を 旅立たせる。よいな?」 「三日後か…。冬風、すまぬな、わらわの 最後の わがままじゃ…。」 「なあ、桜花、俺は…」 言いかけた 冬風の 言葉を 遮って、桜花が 囁く。 「冬風?わらわを 誰と 思おておる? 知っておったぞ。そなたの気持ち。」 「!!」 「冬風は、わらわの 気持ちに 気付いて おらぬのか?」 「??」 「毎年、春に備えて 冬眠する時期に 起きて そなたを 待っておった わらわの 気持ちを…」 「桜花…好いておるぞ。初めて出逢った時から。」 「わらわも、そうじゃ。好いておるぞ、冬風。」 …月だけが 見ていた 二人の 恋… 前へ |次へ |
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