《MUMEI》
テーマパーク
「蝶子ちゃん、着いたよ」


「ん…」


運転席の父の声に、後部座席の私が目を覚ますと、隣のチャイルドシートの友君が、華江さんに抱きかかえられて車から降りるところだった。


「早くいこうよ!」


「ま、待って!」


友君はグイグイ私を引っ張って行こうとしたが、私はとりあえず携帯をチェックした。


(やっぱり…)


眠っている間に、俊彦から何件かメールが届いていた。


『皆、まだ寝ているから』と、代表して私を見送った俊彦は、とりあえず私と二人で食べた朝食の片付けをして、他の四人を起こしに行ったらしい。


麗子さんの影響で、低血圧の孝太もすぐに起きたが、和馬と琴子は起きてくる様子が全く無かったらしく


俊彦の最後のメールは、

『バスと電車を乗り継いで、『シューズクラブ』に戻る事にしたから。夜、電話するから』となっていた。

私は、友君に急かされている事もあり、『わかった』とだけ返信して、携帯をバックにしまった。


「ごめんね、行こうか」


「うん!」


そして、私と友君は、広い駐車場から、軽快な音楽が聞こえる門まで歩き始めた。


後ろからは、父と華江さんがついて来ていた。

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