《MUMEI》

私の言葉に、美穂子ちゃんのママは苦笑した。


(まぁ…)


美穂子ちゃんの目を見れば、皆わかると思った。


「いとこの奥さんと、子供なんだ。ちなみに、これが、いとこ」


祐介さんはそう言って、携帯画面を私に見せた。


そこには、祐介さんや圭介さんより年上の、男性がうつっていたのだが、満面の笑みのその男性は、目を開けているように見えないくらい、細い目をしていた。

「てゆーか、祐介がこんな美形一家と知り合いなんてびっくり!」


歌穂子さんの言葉を、私は否定したが、祐介さんは『そうだろう』と何故か誇らしげに言った。


「まさか、蝶子さんが彼女だとか…」


「違います」

「違う!」


父と同時に強く否定した私を見て、歌穂子さんは『そうよね』と


ホッしたような笑顔を見せた。


(笑顔は可愛いな…)


そんな歌穂子さんを見て、祐介さんは『そんなに嬉しいかよ』と悔しそうに言った。


「別に〜、もし三十になっても誰もいなかったら、可哀想だから付き合ってあげようか?」


「高校生にからかわれるとはなぁ…」


「来年卒業だよ」


「でもなあ…」


祐介さんはため息をついた。

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