《MUMEI》 「もしかして、祐介君に春到来かい?」 小声で囁く父に、私は『かもね』と答えた。 その後、私達は祐介さん達と一緒に行動した。 歌穂子さんは、本気で祐介さんを好きなように見えた。 (ただなぁ〜) 肝心の祐介さんが全く気付いていないし、歌穂子さんを『年下の親戚の子』としか見ていなかった。 (私や父さんでもわかるのに…) 祐介さんは日頃から『彼女がほしい』と言っている割には、恋愛感情に鈍感だった。 「ねぇねぇ祐介、お盆休み明後日まででしょう? 明日はどこ行く?」 「あ? 明日は帰るよ。勇と中学の同級会出るから」 「え〜!」 きっぱり言いきった祐介さんに、歌穂子さんはがっかりしていた。 「同級会から生まれる恋もあるかもしれないし」 歌穂子さんの気持ちに気付いていない祐介さんは、ウキウキしていた。 祐介さんと、お子様二名を除いては、皆歌穂子さんの気持ちがわかっているから、複雑な表情になった。 「もっと、一緒にいたいのに…」 「お前だって友達と遊んだり、同級生と恋すればいいじゃん」 (うわぁ…) 聞いているこちらがハラハラした。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |