《MUMEI》 喋ったことは、ほとんど無かった。 …1年間ずっと、隣にいたのにね。 そりゃ、横顔眺めてばっかりいると、 神崎が視線に気付いて目が合うときもあった。 そんな時は、へらっと笑って、 「いや〜、いい天気だねえ」 とか、言ってみたりした。 すると神崎は決まって、 「いー天気だね」 あたしに横顔を向けてから、そう答えた。 …今日みたいに、雨が降っててもね。 前へ |次へ |
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