《MUMEI》 背の高い、その後姿を見つけたのは、1階へと降りる階段だった。 「かんざき!!」 名前を呼ぶ。 …けど、神崎は振り返りもせずにすたすた歩いていく。 「え、ちょ、神崎!!」 あたしの声なんか聞こえないみたいに、とんとんと階段を降りていく。 …元陸上部をなめんなよ!! あたしは勢いをつけて階段を一気に飛び降りると、 踊り場に着地して、神崎の前方に回り込んだ。 「神崎あおい!!」 もう一度、名前を呼ぶ。 神崎は、顔を伏せると、 「…はい」 小さな声で答えた。 前へ |次へ |
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