《MUMEI》

「…さっきのさ、」



神崎に問いかける。



「あたしに言ったんだよね??」



黙ったまま頷く神崎。



「…『好き』って」



あたしが言うと、



神崎は、静かに顔を上げた。



怒ったような、何だか泣きそうなその顔は、
真っ赤に染まっていた。



それでも神崎は、あたしの目を見据えて、



「好きだ」



もう一度、言った。



あたしの心臓が、大きく跳ねた。

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