《MUMEI》
不覚
いきなり、三角の赤い旗を持った人影が現れた。

その赤い旗には『とまれ』と書いてあり、その先には、パトカーと白バイが待機していた。

指示に従い、左に入りバイクを停めると、さっきの車も止められていた。

(やはりバカッぽい女だ)

警察官が近づいて来た。
「免許証出してくれる?
運転手さん、急いでたん?」

「別に急いでないけど」

「そこの手前で速度違反の取締りしよんやけど、37キロオーバーしてたよ」

「そんなに出とった?」

「出とったよ。これ見てくれる?」
そう言って、レシートのような紙を差し出した。

「… …」

「こんなバイク乗ってたら飛ばしたい気持ちは解るけど、ちょっと飛ばし過ぎやわい。
ここで先月、死亡事故があったから取締り強化しよんよ」

「別に飛ばしたくて飛ばしたんやないわい!!
あの車のせいでこうなったんじゃあ!!」

一応、事の経緯を説明すると、向こうは、スピード違反+携帯電話使用のダブルで止められたらしい。

「まぁ、ゴールド免許だし、君の言い分も解るけど、37キロオーバーしたのは事実やしなぁ…
タイミングが悪かったねぇ…」

そして、差し出されたのはピンク色の違反切符だった。

「過去一年以内に違反や免許停止はない?」

「ないです」

「今回は6点、30日の免許停止と裁判所からの出頭命令があるから…
反則金はその時に決まるから。
一応、10万円以下の罰金となってるけど、意義、申し立てが有れば裁判所で言って下さい。
1〜2週間で連絡があるから…」

そのあと、サインや拇印をさせられたあと、解放された。

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