《MUMEI》

オレがおとなしく由自の背中に腕をまわすと、今度は由自がオレの背中に腕をまわして抱き上げた。

「ん………っ」

それからオレを抱きしめたまま、ベッドから降りた。

「………?由…自?」

………そして。

ダンッ

「くっ……!?」

壁に思い切り背中を押し付けられた。

「ゲホッ…コホ……」

「今から……もっと痛いこと、してやるよ」

由自が手を離した。

足が床に付いた。

「あ………っ!」

由自の突き上げる痛みと、立ったままだから上からの重力で確かに痛み倍増。

「由自……っあ…んん……う」

「……痛い?」

「いた……痛い…」

突然、由自が目尻を舐めてきた。

気付かないうちに泣いていたらしい。

由自が思う存分ヤった後、優しくベッドに寝かされた。

「落ち着いたら風呂行こ?オレは先に入ってくるよ」

由自の背中が風呂場に消え、オレは一息ついた。

身体中がギシギシと痛んで、思うように動かせない。

汗と互いの精液でベタベタの身体。

まだ少し痛む手首。

この調子で由自は大学受かるのかな?

勉強教えるために隣の部屋を借りたはずなのに、何か別の目的で由自に利用されてる。

……ちなみに、由自が目指してる大学はオレと同じ所だ。その名も上慶(じょうけい)大学。国立の日本で一番だと言われる大学だ。

現役合格したオレは神童と地元では呼ばれ、由自は落ちて当然だと言われたけどオレだけは知っている。

由自は死ぬ程勉強したせいで熱を出してしまったんだ。

実力はある。

だから今から頑張れば体調を崩すことなく、本番に臨める。

だけど何度言っても由自は聞いてくれない。

頼むからオレを安心させてくれ。

このままじゃオレハゲるかもしんない……。

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