《MUMEI》

俊彦はものすごく嬉しそうだった。


最後に私は祐介さんと歌穂子さんの事を話そうか迷ったが、まだ二人がどうなったかわからないから、そのことは伝えず、『明日の夕方帰るからね』とだけ言った。


《帰ってきたら、うちにおいでよ》


「ダメよ、…まだ」


《体、ダルいの?》


「ちょっと、腰、痛い…」

私は赤くなりながら答えた。


《でも、咲子さんのお土産届けに来るんでしょう?》

(そうだ)


去年、海鮮せんべいを配って回った事を私は思い出した。


《あの時みたいに世話焼いてよ》


「今年は大丈夫でしょう?」


去年は『シューズクラブ』はお盆も営業していたから、疲れた俊彦と雅彦の為に私は世話を焼いたが、今年は大丈夫のはずだ。


《イチャイチャしたいよぅ…》


「…次の日、お互い仕事でしょう?」


(そりゃ、私だってしたいけど…)


昨日の夜と、今日の朝したのに、明日の夜も…は、正直辛かった。


今日一日も、かなり歩いて疲れていたし。


《じゃあ、夕飯だけ一緒に食べよう? 蝶子は我慢するからさぁ〜 …ね?》


「…」


《ね?》


いまいち信用できないが、私は『わかった』と答えた。

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