《MUMEI》

「ふぅん。ま、いいんじゃない?そういうのも」

私がそう言うと彼は目を見開いた。

「気持ち悪くない?」
「別にないかなぁ。そういうこともあるでしょ」

すぐ近くにいたことには驚きだけどね。
元彼が男と付き合ってるなんて普通に考えたらかなりショッキングだ、けど、何より二人が並んでいるところを想像すると妙にしっくりきてしまった。男と男、じゃなくて、あの人と彼として、二人はお互いが似合っていた。

「お似合いなんじゃない?」

素直にそう言うと、彼の顔の上で渦巻いていた不安やら緊張やらが全て喜色に打ち消された。

「ホント?」
「うーん。二人ともカッコいいしね」

あんまり日焼けしない体質だと言っていた生白い頬がぱっと薄い赤に変わり、口角が上がり、目尻がとろりと下がる。可愛いけどもね、21歳の男がそんな夢見る少女みたいな顔するってどうなの

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