《MUMEI》

「しかし、風花、桜花はもう…。」

冬風は 言葉に 詰まった。


「冬風、これを 見てください。」

そう言って 風花が 懐から 御守り袋を 取り出した。


袋の中から 櫻の花びらが 数枚 出て来た。

「これは…?」


「母上を 型どっていた 花びらです、あの夜、私の 懐に 舞い込んでいました。」


「この花びらは 母上の 核となり 秘薬を用いれば 必ずや 母上は深い 眠りから 醒めるはずです。」


「風花…お前。」


「私に 生気を 与え続け 育てて 頂いた ご恩返しが やっと 出来ます。冬風…貴方にも。」


「私は 二人の 深い愛情に 育まれ 幸せな日々を 過ごしたのですから…

今度は お二人が 幸せに なる番です。」

そう言って 風花は、笑った。

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