《MUMEI》 俺も姉貴も肝心な言葉を飲み込んでいる。 こんな醜い嘖いをしたい訳じゃない。 だって、血の繋がった姉弟だ。 今回は姉貴の過去の傷を刔り出した俺が悪い。入院する羽目になったのも階段で言い争った俺が悪い。 姉貴は当然、姿を現さなかった。 今頃、愛しの太郎兄に慰められてもらっているのだろうか。 姉貴も、太郎兄も、好き同士なのに恋人になろうとしない。 周りに、そして自分に遠慮しているのだ。 それがどんなに贅沢か知らないから苛立たしい。 辛く当たってしまう。 俺が不毛な恋をしなければ、普通に女が好きになれれば、こんな事にはならなかったかもしれない。 前へ |次へ |
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