《MUMEI》

店長である俺は、ヤツのこともその片割れのこともそれなりによく知っている。知っていて、しかもお互いの感情の捩れまで何となく把握していた。その時点で彼らがハッピーエンドを迎えることは予測するに容易かったので、ちょっかいを出してみたのだが、まさかこんなにあっさりと決着が着くとは思っていなかったので少し面白味にかける。いや、本人達はずいぶん苦労していたんだろうけど。

「店長、御手洗い掃除しときました」

だーっと客が入ってざーっと帰っていた時間の境目に、ご機嫌でそんなことを言ってきたヤツには一応問わねばなるまい。

「英田ぁー」
「はい?」
「上手くいったんだ?」
「へ?」
「近藤と」

名前を出しただけで更に弛む頬、正直気持ちが悪い

「わかります?」

わかりますって言うかバレバレですから

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