《MUMEI》

《だから、大丈夫だから…明日、来てくれる?》


「わかりました」


《ありがとう》


そして祖母は待ち合わせ場所と時間を私に伝えた。


《じゃあ、また明日》


「おやすみなさい」


《おやすみなさい》


ピッ


私は、携帯を見つめ、ため息をついた。


(今日はもう遅いから、明日、話さないとね…)


うまく父を説得する自信はなかったが、私は祖母の話を聞きたかった。


(咲子さんと俊彦にも連絡しなきゃ…)


多分、祖母の話は長くなりそうな気がした。


だから、咲子さんには『遅くなるかもしれない』と伝えるだけだが、俊彦には、『遅くなるかもしれないから、行けない』と伝える必要があった。


(約束したのに、ごめんね)

私は、心の中で俊彦に何度も謝りながら、眠りについた。


そのせいだろうか。


夢の中に俊彦が出てきて、ものすごく怒った顔をしていた。


私は夢の中で何度も『ごめんね』と謝った。


朝起きた時、疲労感を感じるほど何度も何度も繰り返し謝った。


(それでも…)


私は祖母の話を聞きたいと思った。

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