《MUMEI》 「みつる、帰ろうぜー」 SHRが終わって、ふうと一息ついたとき、 瀬田くんが私の肩を叩いた。 「あ、えっと…」 「え、なに、何かあった??」 「今日は、ちょっと用事が―…」 「まじで??―…わかった、じゃあ一人で帰りますよー」 少し拗ねたように言う瀬田くん。 「…お前、抜け駆けで青木とデートとかだったら許さんからな!!」 帰りがけに振り向き、私を指差して言う。 「うん、バイト頑張ってね!」 私が笑ってそう言うと、瀬田くんは顔をしかめた。 「…やっぱお前ヘン。もっかい病院行ってきた方がいーって!―…じゃーな!!」 私は手を振って応えた。 …もう少し男っぽくならなきゃな… 『椎名くんの』大きな掌を眺めて、小さくため息をついた。 前へ |次へ |
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