《MUMEI》
In einem Hotel.ホテルにて。
  
「別に…いいけど…」

友達から『明日のバイト代わってくんねぇ?』と電話があった。

ホテルの簡単なボーイの仕事だと言われて、代行するかわりに日給で1万くれると言ったので引き受けた。

その休む理由か”彼女とのデート”という所は気に食わなかったけど…。



(意外と大変なんだな…)

朝礼から始まり、案内から荷物運び、中にはお客に合わせた枕を届けに行ったり…。

金額に釣られて安請け合いしてしまったけど、結構やる事が多くて意外と大変だという事を思い知らされた。

僕が引き受けた仕事というのはいわゆる何でもやらされる下働きで、色々な雑用を言われて走り回されるのだ。

深夜になれば楽になるぞ、と言われたけど…。

とてもじゃないけど僕自身がそこまで持ちそうになかった。

「あ〜柳君の代打の…賀山君だっけ」
「賀川です、はい何でしょうか?」

やっと夕方まで何とか持ちこたえたと思ってホッとしていると、更に忙しくなってきたレストランの方に行くように言われてしまった。

(はぁ〜…休みたいι)

渋々厨房の方に行ってみると、そこはまるでディナーラッシュのようだった。

(どうしよう…こんなのついていけないι)

一日だけの代行バイトだと思って舐めていた…。

こんなプロの技を目の当たりにしてついていけないと焦っていると、ふと先輩がテーブルを廻って水を給仕する仕事を回してきてくれた。

(助かった…///)

「にいちゃー///」

レストランの中では、なぜか日本語を話している外国の子供が楽しそうにはしゃいでいた。

(兄弟…なのかな…)

その子のグラスに水が半分以下しか入っていなかったので、そこに水を注ぐ。

その子は隣のそっくりな金色の髪の男の子に口の周りを拭かれてたり、その隣の…やんちゃそうな長髪の男の子にフルーツを食べさせてもらっていた。

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