《MUMEI》

「まるで王子かお姫様みたいだな、お前は…」

そう言われた妹か弟のような可愛らしいその子は、お兄さんらしい人に頭を撫でられて嬉しそうに笑っていた。

(いい…なぁ///…兄さんか…)

ふと、あの人の事を思い出して陰鬱な気持ちになっていると、優しそうなお兄さんと視線が合ってしまった。

「失礼しました…」

僕は知らないウチにそんな彼らの様子をじっと見ていたらしくて、慌てて謝ると恥ずかしさに、すぐにその場を後にした。

= = = = = = = = = = = = = = = =

「失礼しました…」
「……」
「…どうしたの、にいちゃ?」
「あぁ、いや…」

美しい黒い瞳に、チョコレート色の髪。

日本で流行っているのかこっちではあまり見た事の無いような髪型に、綺麗な形をした唇。

双子よりは年齢は少し上くらいのような、少年と青年の端境期なのだろう。

日本人らしい可愛い顔立ちといい、見た目からはとても優しそうな性格が醸し出されていた。

そして何より、すらりと伸びた美しい指先…。

そんな彼が少々気になった。




子供達と一緒に部屋に戻ると、子供達とは別の部屋に入った。

部屋にベッドが2つしかないのでその2つを3人でどうにか使ってもらって、俺は寂しく2つベッドの部屋に一人。

持ってきた荷物を整理していると、隣の部屋からはるかとかなたが武君も巻き込んで子供のようにはしゃいでいるかん高い声が聞こえてきた。

壁をコンコンとノックして隣の部屋のチビ達に「うるさいぞ、大人しくしろ」と言い聞かせると、向こうからもコンコンとノックする音が聞こえ『ごめんね、兄ちゃ大好き♪』と元気なかなたの可愛い声が聞こえてきた。




シャワーを浴びてラフな服に着替えると、時計を気にしながら下のラウンジに向かった。

(そろそろ、レストランも終わる時間だな…)

レストランが終わると、多分こっちに回されて来る筈だ。

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