《MUMEI》

いきなり壁に押しつけられて、首にキスされて、しまいには耳元に息を吹きかけられて…。

…暴力とかじゃなくってコレは…セ…セクハラになるのかな?

相手の両肩を腕でグイグイ押し退けてこのイケメンから逃げようとするけど、相手は見た目以上に力強い。

体格が全然違うからだろう…。

「日本人だからって、僕をからかってるんですか…?」

キスだけはされないように反らしていた顔を上げると、自分の顔ギリギリに相手の美形の顔があって、僕はドキッと心臓が高鳴ってしまった。

「ちょっと…あの…///放して…下さい…貴方の弟さん達を見てたのはやましい気持ちとかじゃなくて…可愛いなって…思って」

それは本当だ。

あの子供達は、誰からも注目を集めるくらい本当に綺麗で天使みたいに可愛かった。

「…それに、貴方があまりにも……かっこいいので///」

言ってしまった。

初めて見た時からそう思っていたから。

僕は、今にも泣きそうな情けない表情で、この人を見つめているんだろうな。

……悔しい。

= = = = = = = = = = = = = = = =

”日本人だからからかってるんですか…?”

彼に泣きそうな顔でそう言われ、俺も少し思う所があった。

「日本人だから…か…」

俺は日本にいるときは外国人と言われ、ドイツにいるときは日本人と言われていた。

あの弟たちもだ、金髪だがどことなく可愛い顔立ちがアジアっぽいらしい。

「私も、半分日本人だが…」
「え……」

そう言うと彼は驚いたような表情になり、マジマジと俺の顔を見つめてきた。

「全然…日本人には…見えませんけど」
「そうかな…」

でも、この分かりやすい金色の髪と日本ではまず見ないような長身のせいで、半分アジア人が入っていても分からないんだろうな。

細いツリ目に少しブラウンの入った碧眼と、結構可愛いと言われた唇。

身長はあっても周りと比べると若干細い体格。

外国人から見れば、俺は立派なアジア人なのだ。

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