《MUMEI》 「以前、華江さんが言った通りだったわ。 お店は良心的で、俊彦君は、三枝のような主婦には無理にお金を出させるようなホストでは無かった。 勝手に三枝が、一方的に通いつめて無理をしていただけだったわ ごめんなさい」 (良かった…でも) 喜びと同時に私には疑問があった。 「三枝さんが、話してくれたんですか?」 あんなに固くなだった三枝さんが、こんなに早く話してくれるなんて、思わなかったから。 「……え、…えぇ、まぁ…」 ? 私の言葉に答える祖母の態度は曖昧だった。 「話はそれだけですか?」 「いいえ」 祖母は父の質問には、はっきりと答えた。 「だから、ちゃんと俊彦君にも会って謝罪したいし、蝶子ちゃんとの…結婚式…の時にも、呼んでほしいの」 「山田家の人々を?」 父の質問に、祖母は『私と主人を』と答えた。 (他は、出れないよね) 光二おじさんは、来てほしく無いし、既に縁が切れているし。 三枝さんとその家族も、私と俊彦には会いたくないだろうと思った。 「それは…」 父は私を見た。 私には祖父母を拒む理由は無かった。 「いいですよ」 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |