《MUMEI》 滝の過去「大丈夫か?」 智嬉が声をかける。 俺はあのまま倒れたままだったのだ。と…すると、別なところに移し変えれたのか? 「ん…ここは?」 辺りは部屋一面真っ白。左には机が置いてあった。 「滝の部屋さ。一応実家に戻らせたほうがいいんじゃないかと」 智嬉が俺の重たい身体を持ち上げてここまで… 「ありがとう…。助かった」 「お前、記憶がどうのって言ってたよな」 「あぁ…思い出すんだ…あの、火事のあった日」 俺が高校生の時に両親がいない間火事があった。そして、全焼。運悪く両親も居て、俺は家の前で立ち尽くした。 「…俺もその時駆け寄ったんだっけ」 「そう。お前が居てくれなきゃ、俺はどうしていたか分からなかった」 悲しい笑顔で話す。 だが、それを察知したかのように肩を抱かれた。 「親友の俺が居るだろう…心配するな」 「ありがとう。ごめん、役立たずで…」 (!滝の身体から異常反応が?) 「気にするな。これは能力が増える現象だ」 「大丈夫か?」 「…少しめまいがする」 その時、ドアの後ろから気配を感じた。 「誰だ!そこにいるのは分かっている!」 智嬉も感じたのだろう。 茶髪を揺らして怒鳴っている。 ガチャッ 「うるさい隊員だ…ラーテが言ってたのはこやつの事か…」 「お前は…カルテーニ!」俺は叫んだ後、襟首を掴まれた。 「こいつは貰って行く。フフフ…」 「滝…必ず助けに行く…みんなと」 そして、俺はカルテーニのアジトへ連れ去られてしまったのだ。 行き先は牢屋だった。 「ぐ…放せ…」 見ると、上に腕を鎖で巻かれ、下半身はちゃんと動けるようになっている。 「どうだい…?鎖の味は…」 向こうはガラス張りになっていた! 「いいねぇ…痛がる姿…国王として辛いだろう…」 「ふざけるな!それは前世の事じゃねぇか!!」 俺は地団駄を踏むしか他はない。 「さぁ…もっと痛めつけてあげるよ…あの日を思い出すぐらいにな!!!」 前へ |次へ |
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