《MUMEI》 長い1日がはじまる。 電気は完全に止まっている為、閉めきられた部屋は完全なる闇が広がっていた。 母の部屋に入り、手探りでベランダの窓を目指す。 立て付けの悪い雨戸は、ギシギシと鈍い音を鳴らしやがて、 徐々に 朝の日射しが部屋一面に差し込みだす。 今まで、 オレ達の心を支配していた闇が、 少しずつ晴れていく様に。 真っ直ぐに突き抜ける光が、 部屋一面を照らしだす。 重い空気が、外界に一斉に吸い込まれ、 生命をもつ、澄んだ風が清々しく空間を支配する。 もう、 何も恐れることはないと、導かれる様に指先をたどる。 畳みの上には、色のくすんだ花束と 冷めきったコーヒーの入ったマグカップが置かれている。 日々、 悲しみは絶頂だった。 今、こうして生きている間も絶頂を迎え続けている。 それも全部受け入れよう。 まさしく今日、 何かが変わる気がしてならない。 これが、新たな第一歩になる。 こうする事を、 昔、母と約束を交わしていたから。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |