《MUMEI》
狂気
「あの…高崎 唱さん ですよね?」
不意に 声をかけられ 後ろを向いた。


40代位の 見覚えのある 綺麗な女性が 立っていた。


…あれ、誰かに 似てる?誰だっけ〜この顔。

「はい。そうですけど…」
返事をすると 女性は ニッコリ微笑んで 近寄って来た。

「会えて 嬉しいわ。」


…そうだ、この顔!
相原 千鶴だ!


その時 貴士が 叫んだ!「唱。逃げろ!」


私は 脇腹に 激しい痛みを感じ、脇腹に目をやると、包丁が 刺さっている。


相原に、似た女性は、包丁を引き抜くと、私を睨み付けた。


「千鶴ちゃんの 恨みよ、あなたが 家の千鶴を あんなにしたのね〜聞いたわよ、悪魔、千鶴ちゃんを返しなさい。アンタが 死になさい!」


そう言って 再び 私に切り付けてきた。


危ない処で 貴士が 相原の母親を 突き飛ばした。


素早く 私の手を取り 家に入り 鍵をかけた。


相原の母親は 狂ったように ドアを 叩き 猫なで声で こう言った。


「ねえ、高崎さん、刺されたお腹 痛いでしょう?家の病院に いらっしゃい。痛くないように 殺してあげるから…。あはははは〜」


私は 思わず 耳を塞いだが、高笑いは 続いていた。

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