《MUMEI》
第二話:少年の名は篠原快
 全ての任務を片付けた少年は、早速警察署でもてなされていた。
 ただし「子供の」という代名詞は付くわけだが・・・・
 そして、普通なら会議室なり何なりマシな場所に通されるのだろうが、
 正義の味方がもてなされている場所が取調室というのだから、非常に変わっている警察署である。
 いや、変わっているのは取調室に自らやってくるこの警視総監だ。

「快君、任務ご苦労だったね」

 快と呼ばれた少年の前にオレンジジュースが差し出される。
 せめてコーヒーぐらいにして欲しいが、
 この時枝警視総監に言っても無駄だろう。
 自分の親友の父親なので、嫌でもその性格は分かってくる。
 それも息子と比較すればするほど溜息を付かずに入られなくなるのだ。

「いいえ。無事に解決して何よりでした」

 冷静な口調で快は答える。
 掃除屋「TEAM」の高校生バスタ−、階級は戦闘隊長、篠原快をこの警察署で知らないものはいない。

 サングラスをはずし、先ほどの黒尽くめの格好から普段着の白シャツとジーパンに替えた快は、
 任務報告のために警察署に寄っていた。 これも掃除屋の任務の一つだ。

「相変わらず父親とは正反対の性格をしているな」
「反面教師ですからね」

 これも快は軽く受け流した。
 自分の父親は尊敬できる点もあるにはあるのだが、
「こんな男にだけは絶対なりたくない」ランキングナンバーワンにも違いないのだ。
 出来るなら自分の父と幼馴染である時枝警視総監に、
 自分の父の話などしたくはないのである。

「そうか。まっ、うちの修も君と同じような心境なんだろうな」
 
 時枝警視総監は妙に納得していた。
 そして、オレンジジュースを飲みきった快は立ち上がると、

「それでは俺はこれで」
「ああ、夢乃さんによろしくな」

 夢乃は自分の母親の名前。
 そして時枝警視総監とは幼馴染だ。

「はい、失礼します」
 
 快は瞬身でその場から消えるのだった。

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