《MUMEI》

『あの、惇は…』



『実はさっき意識が戻った途端、パニックを起こしましてね、痙攣止めを使わせて頂いたので今ちょっと意識が不安定ですが、とりあえず今の状況は薬の影響なんで』


だから、とりあえず命には別状はないと言われた。





俺は身内でもなんでもないから、後はただ俺が惇の病院の事で知っているかぎりの事を問診されただけだった。





そして惇は個室の部屋に移された。





ICUから出たばかりか術後の人が入る様な、機材が揃った部屋だ。




数年前に癌で死んだばーちゃんがこんな部屋にも居たことあったから不意にその事を思い出した。




惇は薬の影響で後数時間は起きないだろうと聞いていた。




俺は惇の寝顔にそっとキスをした後、ナースステーションにいた看護師に1時間程で戻りますと、その理由も添えて伝え、病院を出た。





タクシーでコンビニに戻り、店長にお礼を言った。




風邪で倒れただけだと適当な理由を言っておき、もう今は点滴しながら元気にしていると、タクシーの中で簡単に考えた台詞を俺は言った。


たいしたことなくて良かったねと言われもう一度お礼を言う。




そして俺は車で病院に戻り、駐車場から惇の携帯から惇のマネージャーに電話をした。




マネージャーはびっくりして今から来ると言った。


確かにその方が良いだろうと思い、病院の場所と電話番号とついでに俺の携帯番号も教えた。

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