《MUMEI》 あんなにも嫌がる僕を両親は机に縛り付けるように勉強させ、説得した。 この学校自体、中学から大学までのエスカレーター式で友の結束は固く、僕みたいな高校から入ってくるような新参者は受け入れがたい。 欠員から二次募集をかけ、奇跡の合格を果たした。 そんなだから余計にクラスから浮いてしまった。 寮は一人部屋で気楽だ。 にーさんとも気兼ね無く触れ合える。 誰かを同室にしたかったみたいだけれど、皆断った。 それに僕はハウスダストアレルギーだということにしてある。 僕にとって孤独は1番落ち着く。 思えば僕には心許せる友人はいなかった。 皆、どこか距離を置いていた。 親元を離れ約一ヶ月、クラスの人は既に徒党を組んでいる。 そして目立たないようにこっそり生きてきた五月。 文芸部はまるで僕しか居ない出席率な五月。 前へ |次へ |
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