《MUMEI》

地の底から湧き出るような、エンジンの鼓動に俺は、不安を感じた。

「いかがですか?」

「…… …これって扱いにくいって言われてますよねぇ?」

「そうですねぇ…
A型よりはマシですが、お世辞にも乗りやすいとは言えませんねぇ… 自分も試乗しましたが、第一印象は、重くて、取り回しが辛いけど、走り出すと、かなり安定感はありますよ。
パワーに関しても、申し分ないですし。
たった10秒で200オーバーの世界ですから(笑)」

「… …」

「今はバイク乗られてます?」

「はい、ZXR400に…」
「ああ、あれも扱いにくいでしょ?」

「う〜ん…そうでもないと思いますよ
結構乗れますよ」

「凄いですねぇ…
実は、僕も乗ってたけど乗りこなせなくて…今のYZFーR6の方が乗りやすいですよ」

「えっ?R6の方が乗りやすいんですか?
あれも、高回転型で、乗り手を選ぶって言いますよねぇ?」

「そこはヤマハですから(笑)
ホンダほどではないですが、初めてでも、それなりに扱えますよ」

「ふ〜ん…」

「カワサキって、乗り手を選ぶでしょ?
僕は選ばれなかったけど(笑)
お客さんなら12R、乗れるんじゃないですかねぇ?」

「実は、まだ免許も取って無いんですけどね(笑)」

「あぁ、そうなんですか? でも、2週間もあれば取れますからねぇ
簡単ですよ(笑)」

「そうですね(笑)
じゃあ、ありがとうございました。検討します」

そう言って店を後にした。

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