《MUMEI》

僕は、愚か者だ。

あんなに学校では頑なに人間に関わらないようにして感情をコントロールしていたのに、愛する猫を前にしていとも簡単にガードを崩した。

まさか、よりにもよって窓から顔を出した瞬間に顎髭が発毛するだなんて。

咄嗟に体を窓よりも屈める。

こうなったら部活動に夢中な皆が気付く前に素早く毛を剃ってしまうしかない。

まず、鋏で毛をある程度カット(伸びた毛は外に放置)根本はトイレに篭り手持ちのシェービングクリームと剃刀で手入れする。

僕は顎髭を根本ギリギリまで裁つ。

そしてトイレに引き篭る。

剃った毛はトイレに流す。

普段、髭はあまり生えてこない分驚く。
しかも四階から地上分伸びた。
ワイルドさには程遠く子供の悪ふざけにしか見えない。付け髭みたい。



剃り残しが無いか確認し、トイレを出た。

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