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《MUMEI》 ◆◇◆ 夜桜が再び鬼門の方角へ向き直ると、彩貴が徐に立ちはだかった。 夜桜は妖を庇うように片腕を横に広げる。 「手を出すな」 すると彩貴は顔をしかめた。 「帰したところで、妖はまた現れる。その度にお前は同じ事を繰り返すのか」 「滅すれば、憎しみが残るだけだ」 「‥！」 驚きで目を円くする彩貴に、夜桜は続ける。 「お前のように妖を目の敵にする者がいるから‥妖が人を恨み、人が妖を忌む」 「‥‥‥‥‥‥‥」 「退いてくれ。彼らを送り返さねばならん」 ◆◇◆ 前へ |次へ |
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