《MUMEI》

「乃理〜アンタに手紙来てたわよ。」


学校から 帰ると 母さんが ニンマリ 笑って言った。


「?…何?」


「乃理も 隅に置けないじゃん。」


「は?」


「今度 紹介しなさいよね。楽しみだな〜。」


訳判らずに 部屋に入る。机の上に 目をやると、水色の封筒。


美しい文字で 私の名前が 書いてある。


「誰から?」
裏返して 見る。


…瑞乃 透 …


「誰?これ?」


全く 記憶に ない。


間違いじゃないの?もう一度 表を見る。


…酒井 乃理 様…
やっぱ 私だよね。


「う〜ん、開けるの 怖いな。不幸の手紙とか?やだな、恨みますとか…。カミソリ 入ってないかな?」


私は 要らぬ妄想を 膨らませながら 封筒を 明かりに 透かす。


開けて見るか…
封を切り、4つ折りの便箋を 開く。

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