《MUMEI》 ――――見られた 不注意だ。 隔離されすぎて、つい油断した。 白いかすみ草が姉貴の手から零れる。 そうか、毎日 姉貴が母さんに渡していたんだ。 気付けなかった。 「…………いや」 俺の反応を確かめるように頭を二、三度振り、姉貴は後ずさる。 俺はとにかく、姉貴の腕を捕まえた。 「今のは…… 」 の先が出てこない。 姉貴を捕まえていた力が強くなる。 「…………離してよ、変態」 その時、もう終わったと思った。 前へ |次へ |
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