《MUMEI》
第三話:TEAM本社
 篠原邸兼TEAM本社は、近所でも有名な巨大な豪邸である。
 その広さも東京ドーム並みというところ。
 そしてこの豪邸には多くの人間が住んでいた。少なくともその人数は五十人近く。
 さらに贅沢にも一人一部屋、トイレバス付きと言うなかなかのしゃれた部屋が用意されている。
 その部屋とは別に食堂・トレーニングルーム・プール・体育館・温泉というリゾート顔負けの施設まで取り揃えられていた。
 しかし、全員が血縁関係にあるわけではない。
 むしろそうでない者達の集まりだ。
 言うなれば、会社の上司と部下達、友人関係、昔からの幼馴染などである。
 そしてこの豪邸の主は、類まれなる才と強さを持ち、「掃除屋」という世界では知らぬものがまずいない。
 その主が結成したのが「掃除屋・TEAM」。
 史上最強の軍団と謳われ、おまけにその部下達と言えば・・・・・・

「快ちゃん! おかえり! 一杯やっていかねぇか?」
「おいおい、未成年に酒を勧めるなって!」
「別にもう十五歳なんだから飲めるだろ?」
「だから、やめなって言ってるんだよ」

 帰って早々、食堂に足を運べば大人達の宴会である。
 いつものことではあるが、この大人達が本当に世間を騒がしている「TEAM」の幹部達なのかとかなり怪しい。
 下手をすれば何処かの酔っ払いより性質が悪そうに見える。
 そんな大人達を尻目に、快は席についた。

「快、夜食食っていくだろ?」
 
 住み込みコックの大地が快に尋ねた。  快と同じ高校一年生だが、大地の父親がここの総料理長なため、
 すっかり料理の道に引き込まれてしまったのである。
 学校の制服よりコックの格好をしている方が、
 大地という人物像にはしっくりと馴染んでいた。

「ああ、貰う。他の奴らはどうした?」

 自分の幼馴染達が珍しくここにいないので快は尋ねると、

「任務だ。まっ、そのうち帰ってくるだろ」
 
 すばやくチャーハンを作り上げ、日に焼けた手が快の前にそれをおいた。

「そうか。大丈夫なのか?」
「何がだ?」

 特に心配がないメンバーなので、逆に大地が聞き返すと、

「修はともかく、他の奴らがちゃんとテスト勉強してるのかと思ってな」

 それを聞いて大地はコンソメスープとサラダを追加した。
 そして、両手を合わせて頼み込むのである。

「快様! 助けてください!」
「知るか、自分で何とかしろ」

 食にはつられない快は、きっぱりと言い切った。

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