《MUMEI》

何の音!!?




飛び起きた私が、窓から外を覗くと、大きなトラックがマンションの下に止まってた…。




なんだ…あれの音か…。
大きなトラックだな…。




『…ん?○×引越センターって書いてある。このマンションに誰か引っ越していたんだ…。』




“…って、確か…ここのマンションの空き部屋って私の部屋の隣しかないじゃん!?”




どんな人だろう…?




お隣さんになる人…変な人だったら、やだな…。




私は、興味津々でトラックを覗いていた…。




中から、おりてきた、これから私のお隣さんになるであろう人は、明らかに“変な人”だった…。




『おっちゃん!おおきに。ほなっ!ちゃっちゃとシバきましょか〜。』




コッテコテの関西弁…。
頭にはターバンの様なものを巻いて…
顔が半分以上隠れるほどのマスクをして…
サングラスをかけてる…。




……………変人。




そして、国籍も…年齢も…不明な感じの男は、声が異常にデカかった…。




『ここや!ここや!俺の部屋。頼んますわ〜。』




『オーライ!オーライ!
ちゃうて〜それはココへ置いてんか〜?』




ドン!ドン!ガン!




“……もう!ウルサイ。”




何なの一体!?
…かなり乱暴で、近所迷惑なんだけど!!




その騒音と耳障りな関西弁は、3時間続いた…。




『あ〜しんど。
あっ!それで最後や。
それはココ置いといて。
あとは、1人でやりますんで…。
はいっ!おおきに。』




トラックも、またすごい音をたてて帰っていった…。



“あの関西弁も一人なら静かになるよね…。”




…って………甘かった。




隣の部屋からは、1人とは思えないくらい話し声が聞こえる…。




『うわっ!なんやこれ。』

『えらいこっちゃ〜!』

『ゴンッ!痛った〜。』

『あれ〜?あれは、どこやってしもたんやろ〜?』




…誰と話してるんだよ。
……変人め!




せっかく…風が気持ち良かったけど、窓閉めよ…。




隣も引っ越し中だから窓、開いてるし…。
このままじゃ、プライバシーなんてあったもんじゃない…。




“はぁ……。
今日は気分転換が出来て、いい日だと思ったのになぁ…。はぁ……。”




ピンポーンッ♪




『は〜い。どちら様ですか〜?』




ドアを開けると、見たことのない若い男の人が立っていた…。




“…この人誰だろう?”




『どうも!はじめまして。俺、今日から隣に引っ越してきた“五十嵐”です。
よろしく!
はいっ!コレ!
俺の店で売ってる“お香セット”!
引っ越しの挨拶っちゅうやつですわ。
ええ匂いするで使こて!』



“えっ?隣の変人!?”




私は、驚いて声も出なかった…。




変人だと思っていた隣人の素顔は、今時の…というより、どちらかというと、イケメンだったのだ……。




『…どうも。…ご丁寧に、ありがとうございます。
百瀬です。よろしく…。』



『…百瀬!?………。
あ゛ーーーっ!!!!』




変人…いやっ!
変人改め…イケメンは、大声で叫びながら、私の顔を指差した。




『百瀬って!?咲良?
お前、もしかして百瀬咲良っちゃうん!?』




『…そうですけど。』




『やっぱりそうか!?
俺や!覚えとるか!?』




…………って誰よ?
全く分からない。

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