《MUMEI》
ノルマ
「自分で拭けないのかよ。……ったく手のかかる」

「う、うるさいなっ!誰のせいだよ」

「オレ?」

「他に誰がいるっつうんだよ?」

「なんだよ!じゃあこれからどうやってえっちしたらいいんだよ!」

急に理不尽な理由で逆ギレされて、こっちがびっくりした。

「てかえっちするな!勉強しろよ」

「……じゃあ勉強したら、ヤってもいい?」

「………いいけどオレの決めたノルマこなさないとダメだぞ」

「オッケー♪」

……と由自は軽く返事をしたけど、このオレが一日で終われるような課題を出すはずがない。

もちろん、由自はオレの計画通り文句ばかりでノルマ達成はできなかった。


「クッソ〜……見てろよ、俊。絶対明日は終わらせて、お前を思う存分抱かせてもらうからな!」

「楽しみにしてるよ」

今まで怠けてた分、由自の学力低下は甚だしいにも程があった。



「はぁ―――……」

「ため息つくな!!」

「お前そんなんで本当にオレを抱きたいなんて思ってんの?オレはそこまで安くはないぜ」

言葉に詰まった由自は、悔しそうに目の前の課題に取り掛かり始めた。

上慶大学理工学部――これが由自が目指す所だ。

生半可な気持ちで行ける所ではない。

オレだって、神童なんて言われたけど、死ぬ程勉強して得た名声だ。

どんだけ死ぬ程やっても、決して死ぬことはない。

「終わった♪」









「え」








オレは再び、地獄を見た。……ベッドの上で。

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