《MUMEI》 「何?」 後ろから二郎が目覚めたことに気付く。 後に引けない。 「…………姉貴がしっかりしてくれれば……こんなことにはならなかったんじゃないか。」 違う、俺が隠していたから悪いのか。 もう、いい。 誰のせいとかじゃない。 上着を着て、靴を履く。 これまでにないくらい、素早さだった。 「……乙矢?」 意識が朦朧とした二郎は理解出来てない。 冷静だった。 足はもう治ってて、二日後には退院だった。 走ると肩が痛い。 それぐらいだった。 だから、 病院を抜け出すくらいは造作の無い事だ。 抜け出したというよりは逃げ出したが正しい表記だろうか。 病院や家には帰るつもりは無い。 何処でもいい、自分を忘れられる場所に行きたい。 前へ |次へ |
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