《MUMEI》 ◆◇◆ 「狐叉、どうした」 夜桜が声を掛けると、その七尾は即座に彩貴から視線をずらした。 そしていつものように夜桜に寄り添うと、彼女を七つの尾で包んでやる。 こうすると夜桜が安堵する事を、狐叉は知っていた。 彼女とは、もう十五の付き合いになる。 狐叉は、彩貴よりも夜桜の事をよく知っている。 夜桜もまた、彼女の事を誰よりもよく知っているのである。 ◆◇◆ 前へ |次へ |
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