《MUMEI》

『まさか!……だってそんな…訳………』




そこまでなら幾ら俺が電話しろって言ったってあの時しなかったんじゃないか?



つか兄弟で虐待なんて…現実には聞いた事がない。






『―――実は僕も幼い頃、扁桃腺の手術受けてるんだけど』

平山さんは自分の首を見ろとばかりにほんの少し顎を上げた。

『――――――っ…』


『そんな跡…無いでしょ』


平山さんの首には何の…跡も……なくて…


『―――惇……』





『――過度の過呼吸で心臓発作を起こしたんじゃないかって…、



――――上京前に、やっぱり心臓発作起こした事あるらしかったけど…、今は本人がすっかり無くなったって言ってたから…』




俺は平山さんに実は今頃惇のマンションの前にその兄貴が居る事を言った。




平山さんは納得が言った様に頷き、惇の携帯から兄貴の携帯番号をメモして





『――じゃ、ちょっとお兄さんに電話してくるからここ頼むよ』




上手く誤魔化してみるからと加えて、平山さんは病室を出た。




暫くして平山さんは戻って来た。



急な地方の仕事が入って惇は数日マンションに戻らないと上手く説明すると渋々納得してくれたらしい。



兄貴も学校があるから、今日はどこかに宿泊して明日帰るとかなり不機嫌そうに言っていたらしい。




そしてとりあえず時間が空いたら連絡だけはさせると、それで話はつけてきたとの事だった。

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