《MUMEI》 六夜 現れし異形◆◇◆ 月明りの晩。 「また来るのか」 「悪いか」 夜桜は髪を束ねつつ横目で彩貴を見た。 だが彩貴は何も言わなかった為、彼女は狐叉と黒手毬を引き連れ彼の後を追い邸を出た。 「‥‥‥‥‥‥‥」 彩貴は無言のまま、北へと進む。 その方角から、妖気が漂ってくるのだ。 夜桜は当に気付いていたが、その場所にいるのは一匹ではない。 妖気の弱いものは、姿が見えにくい上気付きにくい。 それに気付く事が出来るのは、夜桜だけなのである。 ◆◇◆ 前へ |次へ |
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